2016/01/14
口から食物を飲み込むと、便となってお尻から出てきます。どんなに美味しいものを食べても、決していい匂いの便は出てきません。(笑)
不思議ですね。
便は一体はどうやって出来るんでしょうか?
口に食物を放り込むところから見ていきましょう。
口
口に放り込まれた食物は、まず歯で細かく砕かれます(というか自分で噛み砕きます)。噛んでいると自律神経の働きによって耳下腺などから唾液が分泌されます。
唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素は炭水化物(糖質)であるデンプンやグリコーゲンを分解します。
そして飲み込むことで食物は食道を通って胃へと運ばれます。
しっかり歯で噛み砕かないと、あとあと消化するのが大変なので、よく噛んでから飲み込むことが大事です。
胃
胃の中に食物が送られてくると、自律神経の働きによって胃液が分泌されます。胃液にはペプシンというたんぱく質を分解する消化酵素、及びリパーゼという脂質を分解する消化酵素が含まれています。
胃はぐにゅぐにゅ動いて中身をかき混ぜながら、ペプシンやリパーゼといった消化酵素を食物にしっかり絡ませます。
胃の出口は幽門と呼ばれ、胃が消化作業中はギュッと閉まっています。通常、数時間程度で胃での消化作業は完了し、幽門が開くことで食物は十二指腸へと送られます。
十二指腸
十二指腸では引き続き消化を行います。
十二指腸に食物が送られてくると、胆のうより胆汁が、膵臓より膵液が十二指腸内に分泌されます。
胆汁には消化酵素は含まれていませんが、脂質の分解を助ける働きがあります。また、胆汁に含まれるビリルビンという物質は黄色い色素を持っていて、それが便の色の元になります。
膵液には、炭水化物を分解するアミラーゼ、脂質を分解するリパーゼ、タンパク質を分解するトリプシノーゲン等が含まれています。
胆汁と膵液の働きによって食物はドロドロの液状となり、小腸へと送られます。
小腸
小腸で行われるのは最終消化、及び、吸収です。
炭水化物 → | ブドウ糖 |
たんぱく質 → | アミノ酸 |
脂質 → | 脂肪酸 + グリセリン |
このように小腸ではそれぞれの栄養素は吸収できる状態にまで完全に消化・分解されます。
小腸は全長6メートルにも及ぶ長い臓器で、表面には細かい突起(いぼいぼ)が無数にあり、その表面積はテニスコートの4分の1ほどの大きさになると言われています。体に必要な栄養素は、小腸壁の微細な突起(いぼいぼ)の間から吸収されて毛細血管内へと取り込まれます。
6メートルもの吸収ゾーンを通過するわけですが、全てが吸収されるわけではありません。吸収できない物や吸収しきれなかった物はそのまま大腸へと送られることになります。
小腸の出口には回盲弁と呼ばれるひだがあり、大腸からの逆流を防いでいます。
※分類上、十二指腸は小腸に含まれることもあります。
大腸
大腸で行われるのは、
- 食物繊維の発酵、吸収
- 水分の吸収
です。
食物繊維の発酵、吸収
食物繊維とは食物に含まれている難消化性成分のこと総称して言います。
食物繊維はヒトが持つ消化酵素では消化することが出来ません。
そこで活躍するのが大腸に存在する腸内細菌です。
腸内細菌は食物繊維を発酵させることで吸収可能な状態にまで分解してくれます。そうして出来た食物繊維の分解物を大腸で吸収します。
腸内細菌による発酵の過程でガスや、排泄物の臭いの原因となる物質が生じます。
水分の吸収
小腸から大腸へと送られてきた食物・・、もうこの時点では食物というよりほぼ便ですね。ドロドロの状態の便は大腸内で水分を吸い取られることで固形に近づきながら、ゴールへ向けて運ばれます。
もし何らかの原因により、水分の吸収が上手く行かなければ下痢になり、逆に水分を吸収し過ぎると便がカチカチになって便秘になってしまいます。
直腸
※直腸も大腸の一部ですが説明上分けています。
直腸は完成した便の貯留場所です。
直腸に便が十分溜まると、脳へとその信号が送られ便意が催されます。
すると内肛門括約筋が弛緩します。
内肛門括約筋は自律神経の働きにより普段はギュッと収縮しています。肛門から便が漏れ出ないように。
便意を感じることで、その内肛門括約筋が自動的に緩みます。
もちろん内肛門括約筋が弛緩したからと言ってすぐさま便が排泄されるわけではありません。肛門には外肛門括約筋という随意筋(自分の意志で動かせる筋)がある為、自力で肛門を閉じておくことが出来ます。
トイレに座ってリラックスすることで、内外の肛門括約筋が両方弛緩することで、直腸内の便が排泄されます。
まとめ
このように、口から飲み込まれた食物は、胃、十二指腸、小腸、大腸を通って肛門まで辿り着きます。
通常、食物を飲み込んでから便として排泄されるまで24時間から72時間程度かかると言われています。
過酷な長旅お疲れ様でした。ジャーーー。