2016/01/14
便秘は大きく分けて以下の二つに分類されます。
- 機能性便秘
- 器質性便秘
より一般的に見られる便秘は機能性便秘です。一方、器質性便秘というのはいわゆる病気が原因で起こる便秘のことです。
それぞれどういったものなのか詳しく見ていきましょう。
機能性便秘
機能性便秘とはごく一般的に見られる便秘のことで、特に原因となる病気や器質的な異常が無いにも関わらず、3日以上に渡って排便がない状態を言います。
機能性便秘は、その原因により以下の3つに分けることが出来ます。
- 弛緩性便秘
- 直腸性便秘
- 食事性便秘
弛緩性便秘
大腸のぜん動運動(便を肛門に向かって送る動き)が低下してしまっているものを弛緩性便秘と言います。大腸の動きが悪くなると便が長期間大腸内に留まることになり、必要以上に水分が吸収されてカチカチの便になってしまいます。
大腸というのは手や足とは違って、自分の意志で動かすことは出来ません。大腸のぜん動運動を促すのは自律神経の働きだからです。自律神経というのはその名の通り自律的に、つまり勝手に動きます。いちいち自分で「消化しよう」とか「吸収しよう」とか「便を作ろう」とか思わなくても、勝手に自律神経が内臓機能をコントロールすることでそれらは行われます。
ところが自律神経の働きは、過度のストレスや、生活習慣の悪化により著しく低下してしまうことがあります。その結果、大腸の便を送る機能も低下することになり弛緩性便秘となります。
弛緩性便秘を治すには、自律神経の働きを正常に戻してあげることが重要です。ストレスの少ない生活を送れるように心がけたり、自分なりのストレス解消方法で身体も心も癒してあげて下さい。また生活習慣、睡眠・食事のリズムの乱れがあれば改善するようにしましょう。
自律神経の働きにはリズムがあります。朝起きて太陽を浴び、日中はしっかり活動して、夜は早めに就寝する。そういった規則正しい生活を送ることで自律神経は正しいリズムでしっかり体をコントロールしてくれます。
直腸性便秘
直腸と言うのは大腸の最終地点、肛門ぎりぎりのところです。便は直腸まで来ていつでも出れる状態にあるのにそこで留まってしまうタイプの便秘を直腸性便秘と言います。
直腸に便がある程度たまると、その信号が脳に伝えられ便意を催します。と同時にいつもは便が肛門から漏れ出ないようにギュッと閉まっている内肛門括約筋が緩みます。これも自律神経の働きによります。
内肛門括約筋が緩んでいる時が数少ない排便のチャンスです。そのチャンスにトイレに座って排便できればスッキリ爽快ですが、状況によってはせっかくの便意を我慢してしまう時もあると思います。しばらくすると便意は無くなりますよね?それは再び内肛門括約筋がギュッと閉じてしまった証拠です。
あまりに頻繁に便意を我慢していると、直腸に便がたまっても便意を催さない、つまり内肛門括約筋が自然と緩んでくれないという状態になることがあります。
内肛門括約筋は自律神経のコントロール下にあるので、自分の意志で緩めることは出来ません。いくら排便しようとトイレで力んでも肛門は閉じたままです。
自然と便意を催した際には出来るだけトイレに座って排便できるように心がけましょう。時間のある時はゆっくりトイレに座ってリラックスすることで内肛門括約筋が緩んでくれるのを待ちましょう。
食事性便秘
当たり前ですが、便は、口に入れて飲み込んだ物から作られます。ですので当然、便の質は食事に影響されます。食事の影響で便秘になるものが食事性便秘です。
もしダイエット目的で、極端に食事を減らした場合、便の量も減ります。量が減るだけならいいのですが、あまりに偏った食事内容だと固くて出にくい便になってしまったりします。
水分の摂取が少なければ、便も潤いがなくカチカチになってしまいます。
スムーズに送り出される便を作るには食物繊維、水分、脂分をしっかり摂ることが大事です。ダイエット目的で脂分をカットする方もいるかも知れませんが、脂は排便にとってだけでなく、体に絶対必要な栄養の一つです。バランスよく摂ることを心がけましょう。
器質性便秘
器質性便秘とは何らかの病気が原因で腸管が圧迫されることで起こる便秘の事を言います。主に以下の病気が原因となります。
- 腸閉塞・腸捻転
- 腸閉塞、腸捻転とは腸管が物理的に塞がってしまう病気です。激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が突然発症します。完全に腸管が塞がった状態が続くとすぐに全身症状が現れます。酷い場合は命にかかわりますので、一刻も早く病院を受診することをお勧めします。
- 大腸がん
- 大腸がんの場合は便秘だけでなく、便秘と下痢を繰り返すような症状がみられます。また血便がみられることもあります。早期発見の為に定期的な検査を受けることをお勧めします。
- 子宮筋腫・卵巣嚢腫
- 子宮に出来た腫瘍が大きくなることによって大腸が圧迫されて起こります。良性の腫瘍の場合は慌てて摘出する必要はありませんが、注意深く経過を観察する必要があります。
- 手術後の癒着
- 虫垂炎や胃・十二指腸潰瘍などの治療の為に開腹手術を受けた後、傷が癒着してしまうことによって腸管内を圧迫します。